健康マネジメント研究科 大野 星子

「看護職の貢献の認識と貢献感を高める働きかけ」と「組織定着や職業継続」との関連について

高齢化に伴い看護職の需要は増大する一方、少子化により新たな担い手の大幅な増加が見込めないことを踏まえると、看護職がキャリアを継続することは重要な課題である。しかし、現在は人生100年時代と呼ばれ、これまでと比して長い期間でキャリアを考え形成することが必要である一方で、VUCAの時代とも呼ばれ、キャリアの見通しが立ちづらい状況でもある。とりわけ医療を取り巻く環境は、少子高齢化の進展、医療DX・医療技術の推進、医療提供の場の多様化などにより大きく変化している。このような不確実性の高い状況の中でキャリアを継続していくための内的動機として、本研究では「貢献」に着目した。近年海外で着目されているキャリア論の一つ「持続可能なキャリア(Sustainable Careers)」においても、キャリアを継続するための重要な要素として「貢献」が注目されている。本研究を通して、看護職が「貢献」の価値を認識しながら長期的にキャリアを継続していくための示唆を得たいと考える。
 また、看護職のキャリア継続は全世界の共通課題であるため、国際学術雑誌への投稿や国際学会での発表等を通して研究成果を世界に発信し、ともに解決策を探る研究コミュニティの一員として貢献したい。さらに、日本の看護職の「貢献」の認識を海外の看護職と比較し、政策や文化の違いが看護職の「貢献」の認識にどのような影響をもたらしているのかを考察し、看護職が長期的にキャリアを継続できるような医療・看護政策の検討や、管理・教育ツールの開発等にも挑戦していきたい。