電気化学を使った簡易DNA分析デバイス

渡航先(国・機関)

クロアチア・ザグレブ大学

渡航期間

2025年8月~10月

主な渡航目的

共同研究

渡航先決定理由

修士課程在籍時参加した国際学会でザグレブ大学の准教授と知り合い、それをきっかけに始まった博士課程での共同研究を遂行するためです。

研究テーマ

CRISPR/Casを用いた核酸検出デバイスの開発:高感度と迅速・簡便さの両立

コロナ禍で多く用いられた抗原検査キットに代表される、簡易分析デバイスの開発に取り組んでいます。標的としているDNAやRNAといった核酸は感染症等の病気や食品検査で重要なマーカーになるにもかかわらず、主流な分析方法は、大型機器を必要とし、時間の要するPCR法にとどまっているのが現状です。そこで私の研究では、核酸切断酵素の一種であるCRISPR/Casシステムを用いて、誰でもどこでもいつでも使える簡易紙基板核酸分析デバイスの開発を行っています。

研究テーマを選んだ背景

CRISPR/Cas9システムは、遺伝子編集への応用で2020年にノーベル化学賞にノミネートされました。その変異種は1塩基変異を識別できる高い特異性と室温を許容する温和な反応条件から、現在ではそれを利用した新しい核酸分析法が現在進行形で多く報告されています。一方で、所属する研究室は紙を基板とする簡易分析デバイスの開発を得意としており、これらを組み合わせることで、簡易核酸分析法の分野におけるブレイクスルーを起こせると考え、この研究テーマを選びました。

研究を社会に活かすビジョン

コロナのようなパンデミックが再び起きた際に、PCR法を利用することによる医療逼迫や、陽性判定の遅れによる感染症拡大を防ぐことのできるように、分析化学の面から貢献していきたいと考えています。

海外活動によって得たもの、研究への影響、キャリア形成への影響

日本で確立した技術に基づいて、共同研究先で経験と知見のある電気化学を用いた測定法に応用できることを確認することができました。また、今回の渡航を通して別の研究テーマについても新しく始めることができたので、そちらも大きな成果となりました。海外の研究者の方とコミュニケーションをとりながら長期の研究を現地で行うことのできた経験は大きく、将来も海外の方と関わるようなキャリアを歩んでいきたいと強く思うようになりました。

教育研究面で、海外活動を通じて気付いたこと

教育研究面で、海外活動を通じて気付いたこと

研究の環境という面で、日本や以前留学に赴いた台湾とは大きく異なりました。渡航先では博士課程の学生がほとんどを占めており、研究室あたりの人数も少なかったため、余裕があるように感じました。また、現地の人は朝が早く、8時ごろには研究室に来て、夕方ごろにはほとんどが帰るといった生活リズムの違いにも驚きました。

語学面での準備

英語は通じると聞いていましたが、せっかくの機会ならと思い公用語であるクロアチア語で挨拶と簡単なコミュニケーションはできるように勉強をしました。

生活面での準備

生活面での準備

大学寮に月初めからしか入寮できなかったので、最初に2週間程度の滞在先としてAirbnbを借りました。また、入寮のためのワクチン接種や健康診断証明等も取得しました。

海外活動に要した費用の概算

渡航費30万円、宿泊費25万円、保険費8万円、生活費25万円、研究費50万円

費用の拠出元・資金名

Keio-SPRING 挑戦的取組補助費、外部研究費
丸文財団 交流研究助成

今後海外活動を予定している方へのメッセージ

おそらく何も考えずとも海外活動はできるのですが、ぜひ主体的に考えながら活動をしてほしいです。研究面だけでなく、生活面でも渡航中に達成したい目標を考えながら活動を送れば、得られるものはもっと大きくなると思います。