政策・メディア研究科 岡 尚史

量子ネットワークにおける実運用に適した迅速なフィデリティ推定手法について

私の研究は、量子情報、特に量子通信という分野に属しています.量子通信は、離れた二地点間で量子もつれと呼ばれる状態にある量子の対に局所的な操作を行うことにより為されます.量子テレポーテーションはその一つの具体例です.また量子鍵配送は量子通信の典型的な応用です.この分野において、離れた二地点間において共有されている量子対のクオリティを評価することは重要な問題です.そのクオリティはフィデリティ(fidelity)と呼ばれる量により評価されます.フィデリティは0から1までの実数値を取り、1に近いほど高いクオリティを表します.しかしながら、このフィデリティの値を知るためには、一般に、多数の測定(measurement)と呼ばれる操作を同一の量子状態に対して繰り返す必要があり、同一の量子状態を多数用意する必要が生じます.私の研究は、より少ない測定回数で所与の量子対が高いフィデリティであることを保証する方法を確立することを目標としています.修士時代の研究テーマであった純粋数学、特に整数論をも融合した研究を行うことを目指しています.今後のキャリアとしては、大学または民間企業にて研究職のポストにつくことを考えています.