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法学研究科 本多 悠来子

動的で客観的な法解釈像の下で来るべき法務AIと我々の関係をいかに構築するか

AIと法解釈という切り口から研究しています。ここで法解釈とは、法の意味するところを理解・確定し、具体的な事件に当てはめることとしましょう。ところで、アルゴリズムや多くのデータに基づくAIはあらかじめ結論が決まっているという意味で客観的な裁きを実現するため、人間の法解釈より望ましい、という考え方があります。果たして私たちは常にこのような意味で客観性という言葉を使っているでしょうか。法における客観性の問題は古くから法律家たちの頭を悩ませてきました。私の研究は、答えがあらかじめ決まっていない問題に法律家が法解釈によって対処する法の動的な側面の理論的説明を試みます。具体的には、言語哲学や非形式論理学、認知言語学、現象学といった出身の文学部的な学問領域の知見を通じて、客観性の問題の解明をし、その先に人間の自律的で自由な在り方を見ようとするものです。将来は大学に限らず広く教育に携わりたいと考えています。

経済学研究科 藤本 直樹

ウィリアム・トンプソンの社会改革論

19世紀の経済学者ウィリアム・トンプソン(1775–1833)の経済思想・理論を中心に、古典派経済学と社会改革について研究しております。古典派経済学者は、絶対主義的な政治権力に対して自由を説いた一方、資本主義の出現を見つめ、貧富の差などの問題についても取り組みました。絶対的な権力を避けた社会改革の方法としてトンプソンが選んだのが協同組合でしたが、この意義と限界を明らかにし、現代を考える一助としたいと考えています。

経済学研究科 馬場先 薫

局所平均処置効果曲線の完全ベイズ推定法の開発

ベイズ統計学を用いた統計的因果推論手法の開発を行っています。政策や医療、マーケティング施策等おいて、「誰に・どの程度効くか」とその不確実性を正確に見極め、現場の意思決定に直接役立てる枠組みの構築に関心があります。研究と実務の両方で替えの利かない価値を社会に提供したいです。

経済学研究科 中野 領也

複数データを用いた分離ラベル状況での因果効果推定と識別

統計学・計量経済学を基盤として、複数データを用いた因果効果推定を研究しています。特に、処置・アウトカム・共変量が同一ユニットで観測されず、情報が複数のデータに分かれて存在する「分離ラベル」状況を対象に、因果効果の識別・推定・推論を一貫して扱う方法論の構築に取り組んでいます。今後は研究成果を社会実装につなげ、医療などの現場で利用可能なデータ分析基盤や意思決定支援の仕組みへ発展させたいと考えています。

経済学研究科 薗部 成輝

非正規化モデルにおける判別的ベイズ推論

私はベイズ統計学における推定手法の開発に取り組んできました。本研究では、データの複雑な依存構造を表現できる非正規化モデルを対象とします。正規化定数の計算困難性から標準的な推定が難しいこのモデルに対し、パラメータ推定を二値分類問題と捉え直してベイズ統計学の枠組みに落とし込みます。これにより、複雑な確率モデルを要する分野でも、異質性を考慮できるというベイズ推定の利点を活かした解析が可能になります。

経済学研究科 久保田 誠吾

戦前・戦後日本における社会民主主義的財政構想の形成と限界

財政は単なる政策技術ではなく、社会のあり方や優先順位を具体化する仕組みです。私はこの視座から、軍事費の膨張に抗い、大衆の生活重視を求めた社会大衆党に注目し、1930年代日本の戦時体制への移行プロセスを財政の視点から再構成してきました。今後は戦前と戦後をつなぎ、財政をめぐる複数の選択肢が存在したことを明らかにするとともに、その知見を広く発信し、社会のあり方について問うていきたいと考えています。

文学研究科 津上 朗

「夜の情景」絵画における親密さ:ジョルジュ・ド・ラ・トゥールを例に

17世紀フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールについて研究をしています。特に、蝋燭を描きこんだ、宗教主題の「夜の情景」作品群を中心に、その親密さを様式的・図像解釈学的に解き明かすことを博士論文のテーマとしています。

文学研究科 佐藤 勇輝

ジャン・ジュネの戦争:第一次大戦からパレスチナ問題にいたるその文学の展開と意義

「戦争の世紀」と評される20世紀を生きたフランスの作家ジャン・ジュネ(1910-1986)を対象に、戦争がもたらす抑圧と虐殺、植民地主義と人種主義に関する彼の文学的表現と考察の深化を跡づける研究に取り組んでいます。あわせて、フランス・カン近郊にあるIMEC(Institut Mémoires de l’édition contemporaine現代出版記憶研究所)に所蔵されているジュネの未刊行原稿や手稿群を調査し、その解読と分析を進めています。

文学研究科 大太 瑛吉

オセアニアにおける環礁景観の歴史生態学的研究:出土炭化物の樹種同定分析を通して

私はサンゴ礁から形成される環礁の先史時代に興味関心があります。特に、オセアニアの中でも遠隔性の高い島嶼域における、初期居住期から現在にかけての人為的な陸上環境改変について研究しています。分析方法としては、発掘より得られた炭化物の樹種同定分析やフィールドワークによる現生植生・分布調査、衛星画像解析などが挙げられ、幅広い分野の知見を応用して歴史生態学的研究に取り組んでいます。